2024年4月10日水曜日

放送大学の選科履修生から全科履修生へ

2023年の初めころに、思うところあってもう少し体系的に教養を増やしたいと思って放送大学の選科履修生になりました。

いまから20年ほど前にも放送大学の選科履修生を1年間やっていたことがあって、20年ぶりの再入学です。

当時は人に教えるみたいなことをもう少し体系的に理解したいとおもい、また大学の時にあまりちゃんとやらなかった数学的な感を取り戻すみたいな感じで受けていました。コロナなんて夢にも出なかった当時は、試験会場で単位認定試験を受ける必要があり、土日に試験がある科目に絞って授業を取るなんていう苦労もありました。

放送大学は文字どおり放送でしかやっていなかったので、当時地方都市に住んでいた私は、最寄りの学習センターでテープを借りては返すなんてことを繰り返しながら必死にやっていたのは懐かしい思い出です。


放送大学はときどきやってみたくなるものの、授業を取るにはそれなりにお金もかかるし、時間もかかるしで資料を取り寄せては申し込まないなんてのを繰り返していました。

そんなこんなで50歳も目前となった2023年、50代でもう一度アカデミックな勉強をしてみたいと思うに至り、続くのか確認するのもあって選科履修生として入学してみました。


1学期に6科目くらい詰め込んだにしては何とか1年続けることができたので、今年2024年から全科履修生になることにしました。


いちおう卒業を一つの目標にしようと思うのですが、どちらかというと毎年入学料払うよりはコスト的にも手間としてもいいかなっと思っての全科履修生入学です。

2024年現在だと選科履修生は入学料が9,000円で在籍1年間、全科履修生は24,000円で在籍期間最長10年間と、ダラダラ続けるには全科履修生で払っておいたほうが更新手続きの手間ないし結果的に入学料の支払い負担も下がるしでいいことづくめに見えます。

在籍期間は授業料を払っていない科目でもインターネットで視聴ができるので、アカデミックなサブスクとしても魅力的です。

ちなみに私、放送大学の書籍取扱店で下記の教科書買ってきて授業を聞いたりもしました。

初歩からの数学
線型代数入門

この二つは映像ありの授業なので教科書なくても受けられる気もします。


2024年現在では選科履修生から全科履修生に継続入学する場合は学費が割り引かれ18,000円になります。迷っている人は最初の1年間は選科履修生(または半年の科目履修生)をやって続けられるかを見極めてから入学してもよいかもしれません。

どちらにしてもその間に取得した単位はすべて認定されますし、社会人はペースをつかむのに最初何科目かとってみて生活の中でどれだけできるか見てみるのもありですしね。


今回の入学に際しては、出身高校や大学の卒業証明を取り寄せるのがかったるかったということもあり、放送大学独自の特例である「入学資格7B(所定の16単位取得)」での入学です。

全科履修生になるというのは大学入学ですので高校の卒業証明書だとか大学の卒業証書のコピーだとかが必要で、「あれそれどこにあったかな」とか、もらいに行くのに県の証紙が必要とか、アナログ手続きが多くて二の足を踏んでしまいがちですが、まずは放送大学の選科履修生で所定の16単位を取ってしまえば証明書なしで入学できます。

科目数でいうと8科目、前期4科目、後期4科目ができれば1年で取得できます。また選科履修生時代に31単位以上の単位取得があると修業年限に通算されるのですが、これは社会人にはなかなかハードルが高いですね。


とりあえず入学資格取得のための16単位獲得なら、個人的なオススメとしては次の感じです。

語学系(英語もしくはそれ以外の語学でIのほう)で2科目4単位
基盤科目から興味のありそうな2科目4単位
コース科目の導入科目から複数のコースを選んで4科目8単位

全科履修生はどこかのコースに属することになるので、先にコース科目の導入科目というカテゴリから興味のありそうなものを選ぶのがよさそうです。

放送大学はテキスト市販されていますし、第2章くらいまでなら学生専用のwakabaからPDFとしてみることもできますから、難易度だとかジャンルだとかにこだわらず興味がありそうなものを見てみるとよいのではないでしょうか。


私が全科履修生として入学するにあたり選んだ科目は次のものです

身近な統計学('24)
社会統計学入門('24)
経営学入門('24)
会計学('24)
記号論理学('24)

放送大学に詳しい人ならお気づきになると思いますが、すべて今年(2024年)開講または改訂の講座です。

放送大学は何年かに一度授業が改訂され、以後同じビデオや音声をもとに数年間は同じ口座が繰り返されます。開講初年度は授業に関する情報も少なく、過去問がないとか教科書の誤植があるから避けるという意見もあります。

数学系の講座であれば確かに過去問などをやって理解を確かめるのもありですが、社会系の学問は通信指導をやっておけば大体の出題傾向はわかりますので特に過去問の有無を気にしていません。

私の場合は社会人の教養を身につけるという意向が強いので、できる限り新しい情報をもとに学びたいと思っています。このため改訂年次が古いものよりは新しいものを積極的にとっていくスタンスです。(むしろ新しいものだけ取りたい)

誤植が多いというデメリットも確かにあります。2023年開講科目でも9回も訂正のお知らせがあった科目もあり、きちんとした品質管理ができていない科目もあるのは事実です。計算過程に誤りがあると、「なんでこうなるんだろう」ということに時間を費やしてしまいますが、おおむね誤植が誤った理解につながるというほどでもないです。

人間が作るものなので多少の誤植は致し方ないと割り切るくらいでいいのではないかと。むしろ誤植が見つかった時にその先生の社会的成熟度合いが垣間見れたりして面白いです。

特に社会系の科目は直近の話題が織り込まれていると実務につながりやすくなるため、仕事にも役立つという点でいいところが多いです。

開講直後の科目は次回の改訂まで一定の期間があると考えられますので、学習後ある程度長期にわたりオンライン放送が続き復習がやりやすいというメリットもあります。


ちなみに、あまり開講年度にこだわらないのであれば

初歩からの数学('18)
日本語リテラシー('21)
より良い思考の技法('23)

あたりはおすすめです。


「初歩からの数学」は高校レベルの数学のうち今後の学習に必要になりそうなところに絞って、いらないところはバッサリカットしたものです。他のブログ等でも皆さん書かれているように、あくまでも「初歩からの」であり「初歩の」ではないので注意が必要です。

とはいえ、よく高校3年分を半年で... という点については、そこまでは詰め込んでいないという印象です。社会科学をやるために必要と思われる最低限度のところをやや厳密さもカットして丁寧に説明している授業なので、教育と心理コースや、社会と産業コースあたりできちんと学ぼうと思っている人には必須かと思われます。

無理数と対数、順列・組合せ・シグマ記号、微分と積分あたりのA項目が分かっていればまずはいいのではないかと。

隈部先生の説明が肌に合う人は入門線形代数もどうぞ。こっちは記号だらけで数学苦手という人は気絶しかけると思いますが、小学校の算数がわかれば後は記号の見方とか式の扱い方のルールだけなので、隈部先生の説明を何度もインターネットで聞いているうちにわかるようになります。


「日本語リテラシー」は日本人として日本語を扱ううえでの基本を知ることができます。

日本人は日本語が母語だからこそきちんと日本語と向き合ったことがなかったりします。教養として一度体系的に理解するというのはありです。ひらがなとカタカナって何なんだ、みたいな説明もあり、結構面白いと思います。

ややアカデミックよりですのでビジネスライティングには直結するかというと微妙ではありますが、考えるスキルという部分はロジカル・シンキングのベースになりますし、書くスキルや添削についてはもうこれ永遠のテーマになりますがその視点を持っているかどうかによっても同じ日本語で表現する場合に大きな差になりそうです。


「より良い思考の技法」は、放送大学の授業で圧倒的に万人おすすめ授業ではないかと思っています。いわゆるコンサル系のクリティカル・ロジカルシンキング本ではなく(どちらかというとそれに近いのは「問題解決の技法」)、よりアカデミズムによっていて、心理学、論理学、数学的アプローチがとられています。

主任の菊池先生は認知心理学が専門ということもあり、前半でいったん推論の基本的なところを押さえたうえで、後半で展開される人間の推論に関する心理学的な説明は興味深い。理解に骨が折れるものが多いですが、薄っぺらい「あぁ、〇〇法ね」みたいな理解レベルではない真のクリティカルシンキング本ではないかと。現状とあるべき姿のギャップを問題とし、その問題をロジックツリーで紐解いていく、なんてのに飽きてきた人にもおすすめ。


なんてわけで、のんびり放送大学で学ぼうと思っています。


放送大学の入学資格

 放送大学の入学資格で、独特なものとして7B「選科履修生または科目履修生として本学の基盤科目または導入科目から16単位以上を取得した18歳以上」というものがある。 つまり、18歳以上なら、事前に放送大学の特定の科目で16単位を取得していれば全科履修生の入学資格を得られる。 放送大...